ロッキー山脈の山々を縫うように
どこまでも続く鉄道を眺め、
やりがいと使命の重さを味わった。
鋼材事業SBU
立藤 陽平
- Profile
- 入社以来、一貫して鉄道機材ビジネスでキャリアを積んできた。北米を担当するようになったのは2009年から。2014年から5年間、米国シカゴに駐在し、現地でのビジネスや事業会社の管理に携わる。現在は北米向けチームのリーダーを務め、ビジネス全体の戦略立案に取り組む。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです
私が向き合うもの
貨物輸送の大動脈を担う鉄道。
広大な北米大陸で日本の技術が経済や生活の基盤を支えている。
日本に暮らしていると想像できないかもしれませんが、広大な国土の北米では鉄道が貨物輸送の主力を担っています。鉄鉱石や石油といった資源から農産物、さらに一般消費財まで大量の貨物が鉄道によって大陸を行き来しているのです。
私は入社以来、鉄道の機材ビジネスに携わってきました。鉄道車両の主要部品やレールなどです。現在は北米向けビジネスを担当するチームのチームリーダーを務めています。鉄道貨物は一般的な旅客と比べ、運ぶ荷物が格段に重いので、レールなどの機材にも高い品質が求められます。その要求に応えているのが日本の鉄鋼メーカーが作る製品で、世界トップクラスの評価を得ています。どこまでも広がる北米大陸で、日本の技術が経済や生活の基盤を支えているのです。
私の現在地
世界のどこにもないのなら、
自分たちの力で生み出してやろう!
鉄道のレールは、長ければ長いほど保守の手間などがかからず高性能といえます。世界最長のレールは、日本の鉄鋼メーカーが製造する150m。北米最大の鉄道会社、Union Pacific社から、この世界最長レールを導入したいという強い要望がありました。そのためには太平洋を渡って輸送しなければなりません。ところが世界中どこを探しても、150mもの長尺物を運べる船などないのです。
世界にないのなら自分たちの手で生み出してやろう!大胆な挑戦がスタートしました。物流や船舶などの事業部も巻きこんだ社内横断的なプロジェクトが立ち上がり、世界初となる専用の輸送船を建造し、ついに150mレールが太平洋を渡り北米大陸に敷設されました。Union Pacific社はこの取り組みを世界に発表し、“Game Changer”という言葉で褒め称えました。私のキャリアの中でも心に刻まれるプロジェクトです。
これから目指すもの
貨物を積んで、
想いを乗せて、
鉄道は未来へと続いていく。
北米大陸を縦断するように連なるロッキー山脈は、鉄道輸送の最大の難所です。この雄大な山々を縫うように走る貨物列車を間近に見たことがあります。現場の調査のために鉄鋼メーカーのエンジニアとともに訪れたのです。急勾配・急曲線が続く線路の向こうから列車が現れ、約100両もの貨車が延々と連なって走る姿は圧巻。現場で会った保線員はこう話しました。「レールを日本製に変えてから保守の手間がものすごく減った。すばらしい!」。
北米でも労働者の高齢化が進み、線路保守などの効率化が重要な課題となっています。効率化が進めば、それだけ輸送コストを低減でき、北米全体の経済にも反映されます。また、世界的な気候変動とともに、エネルギー効率に優れる輸送手段として、鉄道の存在が再認識され、米国でも日本の技術を用いた新幹線計画が進んでいます。これからは機材の供給ばかりでなく、効率輸送の仕組みづくりなどソフト面でのビジネス展開にも力を注ぎ、北米の貨物鉄道の安定化に貢献していきます。