グローバルなHRリーダーとして
挑戦し続けたい。
Middle East & Africa Dubai Head Office
Maureen Fernandez-Hickey
この記事のサマリー
1. 中東・アフリカ地域における人事・総務全般を統括
2. 子会社統合やユニット制導入、コロナ禍など大きな変化を乗り越え成長
3. ベストプラクティスをグローバル展開、住友商事のさらなるグローバル化を目指す
- Profile
- マレーシア、タイ、ドバイの建設会社およびコンサルティング会社で人事業務に従事したのち、2011年にHRスペシャリストとして入社。HRマネージャー、Deputy Department General Manager を経て2023年より現職。
私のキャリア
中東・アフリカの人事・総務のすべて
リードする存在として。
——現在SCMEA (Sumitomo Corporation Middle East and Africa)にて人事・総務を統括していらっしゃいますが、それ以前のご経歴についてお聞かせいただけますか?
私はマレーシアのクアラルンプール出身で、人事としてのキャリアをスタートさせたのもマレーシアでした。ドイツの建設会社とイギリスのコンサルティングファームで勤務をしたのち、タイのバンコクに移りオーストラリアの企業に転職。そこで3年半勤務したのち、2006年に中東に移り、オーストラリアのコンサルティングファームで勤務。2011年に同社からSCMEAへ人事スペシャリストとして転職しました。SCEUへの異動を経て、2023年4月に現職(General Manager of HR & GA)に就任しました。
——人事分野でキャリアを積んでいこうと決めた理由は何だったのでしょうか?
大学ではマーケティングを学んでいたので、人事ではなく広告かマーケティングの分野でキャリアをスタートすることを考えていました。小規模な会社ではよくあることですが、最初の仕事では一人の職務範囲が広く人事に関わる機会がありました。何年か人事の仕事に関わるなかで、チャレンジングで非常にやり甲斐があると感じ、のめり込むようになりました。やがて、人事のキャリアこそが自分が追求したいものだと気づき、今では私の情熱となっています。
——General Manager of HR & GAとして、どのようなお仕事をされているのですか?
SCMEAグループの目標と実行を指揮・管理し、社員一人一人が主体的にパフォーマンス高く働くことができる組織風土や職場環境の実現に取り組んでいます。
ドバイオフィスでは、SCMEAグループだけでなく、中東・アフリカ地域の子会社やグループ会社のオフィス管理を含む人事総務すべての業務を扱っています。非常に優秀なチームメイトたちとともに、人事に関するアドバイスや業務ガイドラインを提供するアドバイザーの役割を果たしています。学習プログラム、組織開発、施策や手続きの改善、パフォーマンス管理、給与管理、福利厚生など、ありとあらゆることをカバーしています。
中東・アフリカ地域では多くのオフィスが専任の人事スペシャリストを抱えていないため、私たちは極めて重要な役割を担っています。各オフィスのGMやスタッフたちと密接に連携、一体となって進めており、定期的にコミュニケーションを取ってニーズの把握に努めています。私はGMとして、ドバイのオフィスで働く25ヶ国を超える国々出身のスタッフたちを統率し、これらの業務が円滑に進むよう尽力しています。職務範囲が非常に広く、人事総務領域におけるマネジメントやリーダーシップ全般が私の責任範囲となっています。
——実に多岐にわたる人事・総務の業務に携わっていらっしゃるのですね!人事の仕事をしていく中で大変だと感じるのはどういったところですか?
一つだけ挙げるとするならば、「勇気を持たなければならない瞬間」があることでしょうか。ネガティブなことは聞きたくないというのが人間の性質です。みんな、感謝され称賛されたいと思っています。誉めることは簡単ですが、私の立場ではバイアスのない客観性が求められますので、建設的、批判的なフィードバックを提供しなければならない場面もあり、難しい会話が求められます。問題にタイムリーかつ誠実に対処することが私の仕事の中で最も難しい部分だと感じています。それをやり遂げる勇気がなければ、リーダーではなくただのマネージャーです。マネージャーは単にチームを管理するだけですが、リーダーは一緒に仕事をするメンバーに深くポジティブな影響を与えられる存在です。私はポジティブな変化を加速させる、そんなリーダーでありたいと強く思っています。
大きな成長につながった転機
組織の急拡大やコロナ禍を乗り越え
キャリアアップを実現。
——Maureenさんのキャリアにおいて大きな転機となった出来事があれば教えてください。
一つ目の転機は、2015年にSCME(住友商事中東)が子会社と統合されたことです。私が2011年にSCMEに入社した時点ではドバイオフィスはまだごく小規模で、私一人で人事業務を担っている状況でしたが、統合の結果、従業員が42人から75人に増加しました。単なる数の増加ではなく、国籍・個性・役割も様々で、統合された子会社は石油やガスを扱う会社だったこともあり、カルチャーがまったくと言ってよいほど違っていたのです。そうした状況下でポリシーを統合し、人間関係を構築し、1つの組織としてまとまるまでの道のりは簡単なものではありませんでした。ですが、この経験を通じて多くを学び、より大きくダイバーシティに富む組織の改革ができる能力を身につけることができました。
二つ目の転機は、2017年の中東地域へのビジネスユニット制の導入です。それまで私たちは中東全体でひとつの組織として運営していましたが、組織再編により4つの事業体(ドバイ・トルコ・サウジアラビア・イラン)が1つのビジネスユニットにまとまりました。2021年にはアフリカ地域が中東と統合されました。この組織構造の変化により、私たちの役割はポリシー管理者からビジネスパートナーへと変わりました。地域全体の整合性の確保と維持に努めることとなり、私にとってはより広範な地域における人事機能の管理能力を証明する機会となったのです。
三つ目の転機は、コロナ禍でのテレワーク制度の導入です。ニューノーマルに適応するために信頼と柔軟性を基盤とした組織カルチャーに変革する必要があり、これらの変革をリードするのは人事にとっては非常にチャレンジングな経験でした。
——とても大きな変化だったんですね。ここに至るまでに多くの困難があったのではないでしょうか?
幸運なことに、こうした節目において偉大なメンターとの出会いに恵まれました。2015年の子会社との統合時には直属の上司に当たる支社長が支えてくれ、2017年のユニット制導入時には優れた上司が非常に明確な指示で導いてくれました。最近の変革的なフェーズでは、新しいHRトレンドに適応し、私に変革をリードする権限を与えてくれるビジョナリーマネージャーがいました。それぞれのメンターは異なる個性を持ち、異なる視点を提供してくれました。私は彼らをメンターとして尊敬し、彼らの指導のもとでキャリアを成長させる自律性を与えられました。私の個人的な経験から言えば、住友商事には素晴らしいリーダーたちが存在していると思いますし、そうした優れたリーダーたちの下で働けたことは幸運でした。
アドバイスをもらえるというだけでなく、自信を植え付けてくれるという意味でも、上司からのサポートはとても重要です。社員は尊敬する上司からのサポートを得て成長していくのであって、一夜にして優秀な社員になる人などいません。ですから、ポジティブなインパクトを与えてくれる素晴らしいリーダーに恵まれることはとても大切です。
私自身も、私を成長させてくれた彼らのようなリーダーになれたらと願っています。部下とオープンなコミュニケーションを取れるリーダー、部下を励ますリーダー、部下と互いに敬意を払い合える関係を築けるリーダー、部下から慕われるリーダーになりたいと思っています。
大切にしている価値観、そして目指したいこと
グローバル・エクセレンスの推進。
全社標準化への道を拓く。
——最後に今後の目標を教えてください。
人事の仕事が大好きで、人事部門としてそのベストプラクティスを示していくことに情熱を注ぎたいと思っています。そうしたベストプラクティスをグローバルレベルにまで引き上げ、グローバルベースで標準化していきたいと考えています。こうした取り組みは住友商事がよりグローバルな組織になるためのサポートに繋がると信じています。
また、さらなるグローバル化のためにはマネジメント職により多くの外国籍社員が必要だとも考えています。実を言えば、2011年に転職エージェントを通じて住友商事からの面接依頼を受けたとき、私は住友商事という会社をまだ知りませんでした。電化製品などで日頃お世話になっている日本のメーカーについては知っていましたが、商社となると見当もつきませんでした。ですが、これまで住友商事とともに歩んできた道のりは、常に変化があり刺激的で、経験したことのない新しいことに挑戦でき、非常に楽しいものでした。住友商事に入社したことは、私にとってベストな決断の一つだったと思っています。もっと多くの外国人が住友商事でキャリアを積んでいくことに興味を持ち、私のようにエキサイティングなキャリアを楽しんでくれたらと願っています。