住友商事 | Enriching lives and the world

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住友商事で出会ったすべてが、
成長と、起業家としてのキャリアを
叶えてくれた。

セルソース株式会社 Founder / 代表取締役CXO

裙本 理人

この記事のサマリー

1. 住友商事では木材のトレーディングに従事し、ロシアでの工場建設や海外営業などさまざまな仕事を経験。

2. 新法施行をきっかけに起業を決意。背景にあったのは、住友商事で法改正というピンチをチャンスに変えた原体験。

3. 住友商事で得た経験や思考が現在のビジネスに活きている。アルムナイとして互いに刺激を与えながら成長を目指したい。

Profile
2005年に住友商事入社。以来、木材のグローバルトレードにて生産管理や営業などを経験。2014に住友商事を退職・独立し、2015年にセルソース株式会社を設立。再生医療に関するサービスを展開し、2023年10月には東証プライム市場への上場を果たす。

住友商事時代のエピソード

「一番厳しい環境で働きたい」
そこで学んだビジネスの原点。

——住友商事では、ロシアでのプロジェクトが印象深かったそうですね。

2008年から携わったロシア最大級の木材加工工場の建設プロジェクトが最も印象に残っています。当時は入社4年目で、プラスタンという海沿いの田舎町に長期出張し、何もない野原のような場所に5ヶ月後工場をつくり、稼働させるというプロジェクトを推進しました。私は現場監督のようなポジションで、建築資材を各国から輸入し現場へ運ぶ手配をはじめ、300名を超えるロシア人作業員の人員配置や、日欧米から来訪されるスーパーバイザーの宿泊先の管理まで、ありとあらゆる仕事を一手に引き受けました。寝る間も惜しんで仕事に邁進する日々でしたが、とにかく目標がはっきりしていたので、ゴールに向かって全力疾走する日々が最高に楽しくて。生活インフラも未成熟な土地でしたが、入社時から「一番厳しい環境で働きたい」と人事に申告していた私にとっては望むところ。その方が早くグローバルなビジネスを経験できると思いましたし、いち早く成長できると思ったんです。やってみて、実際にその通りでしたね。

——その後、入社5年目に帰国し、グローバル営業に携わったと聞きました。ここではどんな仕事をしていましたか?

無事に工場を稼働させた後は、そこで造られた木材加工品を日本、中国、韓国に売るための営業を任されました。ここで学んだのはマーケットイン思考。お客様が本当に必要としている商品を提供することがどれほど大切で大変かを実感しました。相手は木材のプロなので、小手先の知識は通用しません。けれど私はロシアで原木を単板に加工するまでのすべてのプロセスを経験していたので、かなり深いレベルで木材を語ることができましたし、お客様はそんな私に価値を感じてお付き合いしてくれました。売るものの本質を理解し、商品の価値を引き出し、信頼を積み重ねることが営業の役割なんだと実感しました。それから、お客様と深く付き合う姿勢も学びましたね。時にはお叱りを受けることもありましたが、トラブルがあっても逃げずにとことん向き合った先に信頼関係が生まれることを知りました。そうして「気持ちの貸し借り」ができる関係に。住友商事を卒業した今でもつながっているお客様がいるほどです。

——そのほかに、住友商事での学びなどはありましたか?

入社7年目のときに、また2年間ロシアへ戻り、工場の品質・生産性向上に取り組みました。そこでより良い商品をつくり、自分でお客様に売りに行くことでマーケットイン思考がさらに強まりましたね。また、工場の稼働率を1%上げる、あるいは製造時のロスを1%削減するだけで、こんなにも業績が変わるのだという事実に触れられたことも私のキャリアにとって大きな収穫になりました。

ターニングポイント

挑戦しない方がリスク。
訪れた転機。

——当時大活躍していた裙本さんが、独立・起業するきっかけは何かあったのでしょうか?

趣味のトライアスロンで起業家の方々と出会ったことが最初のきっかけです。「こういう生き方もあるんだ」と初めて知り、おぼろげにも自分もいつかそんな挑戦をしてみたいと感じるようになりました。それ以来、社内だけに自分のキャリアの可能性があるわけではないと念頭に置きはじめ、転職も含めて考えてきましたが、どこと比較しても住友商事が一番面白いと感じたのも事実です。ただ、それが変わったのは2014年に再生医療等安全性確保法が施行されることを知った時。実は、住友商事がロシアに木材加工工場をつくったのも法改正がきっかけでした。競合の商社は法改正を機にビジネスを撤退しましたが、住友商事はそこで諦めずに挑戦した。ピンチをチャンスと捉えたからこそ、大きな利益を得ることに成功したんです。その原体験があったからこそ、「これだ!」と感じて。再生医療分野で起業するために、そして私自身の非連続的な成長を目指すために、住友商事を卒業することに決めました。

——とはいえ、再生医療の分野はこれまで経験がないですよね?起業にあたって怖さはなかったのですか?

まったくなかったですね。木材の仕事についても最初は何も知らない状態でしたが、最終的には業界の方々と対等に渡り合えるプロフェッショナルに成長することができましたし。だから、再生医療も同じだと思ったんです。努力すればまたプロになれると。これまでの経験や知見はもちろん大切ですが、一回ゼロベースにして考えてみる。これは、私が常に意識していることです。

——退職することにリスクは感じませんでしたか?

新しい会社をつくってもすぐに利益が入ってくるわけではありません。すると収入はゼロになるわけなので、当然心配はありました。ただ、それもよくよく考えたら致命的なリスクではありませんでした。最悪うまくいかなければ別の仕事をしたり、また住友商事に戻るという選択肢もありましたから。それよりも挑戦しなかった時のリスクの方が大きい。そう考えて起業に踏み切りました。

住友商事で働くことの魅力

住友商事で得た経験や出会いは、
かけがえのないもの。

——そんななか実際に起業されて、創業1期目から黒字化に成功されていますね。その背景にはどんな経験があったのでしょうか?

間違いなく住友商事で経験したさまざまな仕事や、人との出会いのおかげです。住友商事で叩き込まれたマーケットイン思考を徹底したからこそ事業を成長させ続けることができたのだと思います。住友商事の「人」から受けた影響も大きかったです。例えば事業部の先輩たちは、常に相手との信頼関係を築くためにニーズを満たす方法を考え続けていて、さまざまなアウトプットを行っていました。そうした環境で育ててもらったからこそ、今の私がつくられたのだと思います。

——最近は住友商事のアルムナイのネットワークも活用されているそうですね。

SC2(Sumitomo Corporation Start-up Community)という起業家のコミュニティがあるのですが、そこで定期的な情報交換を行っています。株式会社グロービスの堀社長やアライドアーキテクツ株式会社の中村社長など、尊敬する先輩起業家たちと交流することで良い刺激をいただいています。同じ住友商事の出身というだけで、無償の助け合いができるコミュニティで、ビジネスについてはもちろん、精神的に救われることが多いですね。

——卒業された立場から、あらためて住友商事の魅力をどのように感じますか?

住友商事が持つ人的資本とグローバルネットワークは、他社が簡単には真似できない大きな強みだと感じます。住友商事には「数」と「層」の両面で優秀な人財が集まっています。起業してみて、「住友商事のように優秀な人財が集まるのは普通ではないんだ」と実感しました。そして、そのネットワークがグローバルに広がっている。世界中のあらゆる国と地域に仲間がいて、どこでもビジネスを広げる基盤があることはすばらしい武器です。
これからもお互いに刺激を与え合い、ともに成長していけたら最高です。

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