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強い意志と自分事の精神。
それが、経営判断と
社会インフラを担う責任。

米州住友商事グループ 鉄鋼グループ

本田 悠己

この記事のサマリー

1. 国内外での鋼管貿易を経て、現在は米国の事業会社で主管業務を担当。

2. 厳しい壁を乗り越える鍵は、すべてを「自分事」で考えつづけること。

3. Energy SecurityとEnergy Transitionの実現に貢献。

Profile
2011年に新卒で入社以来、世界各国で石油・ガスの採掘・輸送に不可欠な「鋼管」にまつわるさまざまなビジネスを手がける。2019年より米国ヒューストンに駐在し、現在は出資先の事業会社の主管業務や新規事業開発に取り組んでいる。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです

現在の仕事

国内外での鋼管貿易の経験をもとに、
アメリカの事業会社に出向。

——入社以来、鋼管のトレードやそれに関連するさまざまな業務を経験されたそうですね。具体的にはどのような仕事をされてきたのですか?

私たちは石油やガスの採掘や輸送に必要なパイプラインに使われる鋼管を扱っています。入社から5年間ほど担当していたトレード業務では、日本の鉄鋼メーカーから商品を購入し、それを必要とする海外の石油・ガス開発会社や海洋パイプライン敷設業者などに販売していました。単純に商品の売り買いを行うだけでなく、お客様が求める形に加工をしたり、必要なタイミングで商品を届けられるよう現地の物流をアレンジするなど、関連サービスも提供していました。

——そして現在は、ヒューストンにて事業会社の主管業務を担当しているとのことですが。

2019年から駐在し、最初の2年間は北中南米のお客様に向けて日本の鋼管を販売。2021年からは、住友商事が株主を務める現地の事業会社に出向し、事業の再建・拡大に向けた取り組みを進めています。この会社はアメリカ国内を中心に鋼管のトレードを行っているのですが、同社の経営陣とともに事業計画や戦略を策定し、実行を支援・モニタリングすることが主な役割です。具体的には、事業会社から株主である住友商事に対して報告・説明を行うための情報収集やストーリーの立案・資料作成、並びに、日々のオペレーションにおける申請の確認・承認、新規事業開発に向けた顧客/パートナーの共同訪問、などが業務となっています。住友商事が事業会社に対して求める成長と、事業会社の考えや実態が必ずしも一致するとは限らず、両者の意見を踏まえた現実的でベストな案をつくり事業会社と共に実行していくことが、私に求められる役割です。

仕事の苦労とその乗り越え方

時に激しい衝突や、厳しい選択も。
壁を乗り越える鍵は、「自分事」で考えつづける姿勢。

——出向先の社長と意思決定を巡って口論になったこともあるそうですね?

出向したての冬のことでしたね。とある商取引を実行するか否かで社長と意見が分かれたんです。社長は取引をしたい、一方私は、リスクが大きい割にリターンが少ないと猛反対。電話越しで数時間にわたり口論となりました。「会社の売上アップは株主である住友商事も望んでいるはず。取引を進めてチャンスを増やしたい」という社長の意見に対して、それまで議論を重ねてきた会社の目指すべき方向を踏まえて、私の考えを根気強く説明しました。最終的には社長の理解を得られて取引は中止となりましたが、かなり激しく議論したことが印象深いです。私は常々、社長と同等の熱量を持ってこの事業にコミットすることを心がけてきました。そうでなければ対等に会話することも叶わず、会社の成長を実現できないと考えているからです。そんな熱意が社長にも伝わっていたからこそ、こうした議論ができるのだと思います。

——まさに経営を行っていく上ではさまざまな壁にぶつかる場面もあるそうですが、本田さんはどう乗り越えていますか?

現在担当する事業会社については、この2年間で事業再建に取り組んできました。そのなかで、先ほどのように意見が衝突することや、シビアな選択を迫られるシーンもあります。会社の生き残りをかけて本当に必要なビジネスだけを残し、それ以外を切り捨てるといった判断を経営陣と行ったこともあります。こうした判断を下すこと、また実行に移すことは非常に負荷の大きい業務ですが、まずは自分自身が誰よりも事業のことを「自分事」として考え抜き、その上で経営陣と同じ目線で真剣勝負の議論を重ねることが重要だと思っています。特にアメリカでのビジネスにおいては、「自分事」として真剣に考え抜き、議論にアイデアを持ち込まなければ、一人前としては認めてもらえません。言い換えれば、その壁を乗り越えて経営陣と一枚岩になれたからこそ、目標を達成できたのだとも感じます。

仕事の意義

社会基盤と
エネルギーの未来を担う。

——エネルギーという分野では、仕事のやりがいも大きいのではないでしょうか?

おっしゃる通り、エネルギー産業の一端を担っているやりがいは大きいです。いつでも必要なエネルギーを利用できるようにする「Energy Security」と、サステナブルなエネルギー利用を推進する「Energy Transition」の実現に貢献できていると感じています。
具体的なエピソードがあるのですが、2021年の冬にヒューストンに大寒波が到来し、3日間ほど水道や電気が使えなくなり、Energy Securityの重要性を痛感しました。こうした経験も踏まえ、いつでも安心してエネルギーを利用できる社会づくりに、自分たちのビジネスを通じてしっかりと貢献していきたいと考えています。その上で、再生可能エネルギーへの移行を見据えたビジネスにもチャレンジし、社会のEnergy Transitionも実現していく必要があります。ここについては、事業会社の業務と並行しながら、新規事業開発にも取り組んでいます。

——社会的にも重要な役割を担っているのですね。最後に、住友商事の魅力を教えてください。

入社以来、世界中のさまざまな国でビジネスを行い、各国の現地スタッフやお客様と接するなかで、多くの仲間やライバルに巡り合う機会を得られました。国籍も年齢も性別も関係なく、彼らとともに目標を達成できた時には、住友商事の仕事の面白さを実感します。
また、仕事を楽しむために私が大切にしているのが、職場を「公正な競争の場」にすること。たとえば、重要な情報共有は必ず英語で行うなど、些細なことですが誰もがフェアに活躍できる環境づくりを心がけています。グローバルな舞台で仲間たちと切磋琢磨することで、もっと強い住友商事をつくっていきたいと思っています。

本田 悠己が答える
5つのQ&A

Q1 入社した理由は?

総合商社とコンサルティングファームを中心に就職活動を行っていましたが、人脈形成をベースにビジネスを展開する総合商社の方が、自分の性格に合うと判断し、住友商事に入社しました。

Q2 仕事を楽しむ秘訣は?

誰よりも考え抜くこと。そして、考え抜いた内容を仲間に共有し、議論することで仕事を楽しむことができると思います。また「作業」と「仕事」を切り分け、「作業」は効率化を進めながら、「仕事」=本質的なビジネスの改善・創出についてはしっかりと時間をかけることを大切にしています。

Q3 過去のどのような経験が、今のあなたをつくっていますか?

若手の頃から妥協しない仕事の仕方を、上司や先輩に教わりました。「小さな仕事で妥協する人間は、大きな仕事でも妥協する」というのが当時かけられた言葉です。言い換えれば、小さな仕事でも妥協せずにやる人は、信頼を得て規模の大きな仕事を任せられるということ。資料作成やメールを送るといった些細な業務でも、自分なりに改善を積み重ねることを仕事のスタンダードとしてきました。

Q4 尊敬している社員はどんな人?

自分に厳しく他人に厳しい、即ちフェアな人です。誰よりも自分の仕事に情熱を持ち、高いコミットメントとリーダーシップを発揮することで、周囲のメンバーに「自分も成長してついていかねば」という危機感と、「この人と一緒に進めば大丈夫」という安心感を与えてくれるような存在です。

Q5 プライベートの過ごし方は?

週末はサーフィンとゴルフをして過ごすことが多いです。テキサスの海はお世辞にもきれいとは言えませんが、沖に石油ガス生産用のプラットフォームが見え、日本や他国の海ではなかなか目にすることができない景色のなか、サーフィンを楽しむことができます。また、妻と一緒にライブイベントや音楽フェスなどに行くことも多いです。

とある1日

6:30
朝起きてメールをチェック
10:00
出社
10:30
事業会社の株主総会に向けた資料作成
12:00
取引先とランチミーティング
14:00
事業会社を訪問し、経営陣と打ち合わせ
15:00
事業会社の商取引に関する起案作成
18:00
退社
19:00
東京本社と打ち合わせ(必要に応じて)
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